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大きな目標がみんなを変える パラスポーツの可能性

※公開時点(2021.8.25)の情報です。

●大久保副センター長のインタビュー動画(05:13)
 

いよいよ1年後に迫った「神戸2022世界パラ陸上競技選手権大会」。世界中のパラ陸上のトップアスリートが神戸に集まる。実はここ神戸は、パラスポーツが盛んなまちでもある。神戸のパラスポーツに20年以上関わってきた、社会福祉法人神戸社会福祉協議会・障害者スポーツ振興センターの大久保正樹副センター長に、大会への期待を聞いた。

―大久保さんが所属されている「障害者スポーツ振興センター」は神戸のパラスポーツの拠点として、今年(2021年)、設立10周年を迎えられました。

大久保 2011年、神戸市障害者スポーツ協会の事業を引き継ぐ形で発足しました。障害者の機能回復や健康増進を図るとともに、障害のある人たちの自立と社会参加をスポーツを通じて進めていこうと、神戸でのパラスポーツの普及に取り組んでいます。
場所は三宮の磯上公園の東側、神戸市立こうべ市民福祉交流センターに事務所があります。このビルの7階から上が市民福祉スポーツセンターとなっていて、障害のある人たちに使っていただける設備や道具が揃ったスポーツセンターとして利用されています。

―実は神戸とパラスポーツは関わりが長く、そして深いんですよね。

大久保 神戸では1989年にアジア・南太平洋エリアのパラスポーツ大会であった「フェスピック大会」がありました。これをきっかけに神戸には、水泳や車いすテニス、パラ卓球など様々なパラスポーツのクラブが生まれました。

―神戸市内のパラスポーツクラブの一覧を拝見しましたが、卓球・野球・軟式野球・バスケットボール・射撃・アーチェリー・バドミントン・バレーボール、、、とたくさんの競技があって驚きました。

大久保 たくさんのチームがいろいろな競技をやってます。全国的に見ても神戸は本当に活動が盛んだと思います。

―大久保さんはそういったそのパラスポーツにずっと関わってこられてるんですか。

大久保 20年以上、指導員として障害のある人たちのスポーツ指導に関わってきました。特に専門的にやってるのは「シッティングバレーボール」という、座ってやるバレーボールですね。このほかには、仕事の中では水泳とかですね、体操とか陸上も含めていろいろなスポーツで障害のある人たちに指導はさせていただいています。

―特にその「シッティングバレー」では日本代表の監督もこれまでにされたそうですね。現場でどんなことを感じてこられましたか。

大久保 メンバーのみんなはそれぞれ様々な障害を乗り越えてきています。そういったメンバーとは障害があるとかないとかは関係なしに、ただただ一緒に世界に通用するにはどうしたらいいのか考えながらやってきました。

世界選手権オランダ大会でプレーするシッティングバレー日本代表

―世界を経験してきて、越えないといけない壁というのは感じましたか。

大久保 超えないといけないのは健常者の方かなと思うんですね。(相手に)障害があるということを意識してしまう健常者がやっぱりたくさんおられる。でも障害のある人たちの多くは、そこはあまり意識してほしくないと思っています。

―1人のアスリートとして見てほしいということですね。逆にこちら側の意識改革なんかが問われてるのかも知れませんね。そういう意味では、いま東京パラリンピックが開かれていますけども、来年の神戸大会の存在も、障害をお持ちの方にとってすごく大きな存在でしょうね。

大久保 そうですねやっぱり一つの大きな目標である大会ですね。スポーツが一つのきっかけになって、大きな目標を持つことで変わってこられた方がたくさんおられますね

―来年の神戸大会はどんな大会になってほしいですか。

大久保 東京パラリンピックでも陸上競技が開催されます。そこでも活躍したアスリートたちが、また1年後に、神戸の街に集まって来てくれるということになります。まずは無事にコロナの中でも開催してほしいです。
そして選手には競技だけではなくて、神戸の街もしっかり楽しんでもらって、アスリートと神戸の人たちとの交流が図ることができる大会になればと思いますし、この大会をきっかけに神戸のパラスポーツがより発展していくんではないかなと思います。

―神戸のパラスポーツがますます活気づきそうですね

大久保 大会で世界トップのパラアスリートの姿を見て、自分も陸上を始めてみようという障害者がたくさん出てきてくれればうれしいです。それは神戸だけではなくって、日本全体のパラ陸上という部分の層が厚くなっていくのではないかと期待しています。

―ありがとうございました。

<大久保正樹氏プロフィール>
20年以上にわたって、神戸でパラスポーツの指導・サポートに関わる。特に「シッティングバレー」ではこれまでに3度日本代表監督を経験。パラリンピックアテネ大会・北京大会にはコーチとして参加。社会福祉法人神戸社会福祉協議会 障害者スポーツ振興センターの副センター長。

放送/ラジオ関西「谷五郎の笑って暮らそう」2021年8月10日OA
インタビュアー/谷五郎、田名部真理

※掲載情報は2021年8月25日現在の情報です

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